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【イベントレポート】LOTUS ELETREの発表会に潜入

2023月9月1日、暦の上ではすでに秋ながらうだるような暑さが続いていたその日、東京ポートシティ竹芝のポートホールには、洒落た服装の男女が多く集まっていた。今日はイギリスの名門自動車メーカー、ロータスの新型車ローンチイベントなのである。

自動車メーカーがこのような大々的な発表会を行う時は、エポックメイキングな車両の登場を意味する。会場ではロータス初となるオール電動SUV「ELETRE」の、ELETRE S(2,332万円)とELETRE R(2,585万円)が発表された。両車とも前後にモーターを搭載し、AWD駆動を実現しているのが特徴だ。例えばELETRE Rは、675kW(918ps)/985Nmもの出力で、0-100km/h 加速がわずか2.95秒、最高速度265km/h、航続距離は490km にも及ぶ。まさにスーパーな電動SUV が登場したのだ。

オーディオ評論を生業としつつ、イタリアの名門スポーツカーメーカーの車に乗る僕も、英国の名門がこのような先進的な車両を作ってきたことに驚嘆したのだが、僕にとってそれと並ぶインパクトがあったのは、ELETRE にはイギリスのKEF(ケーイーエフ)社がオーディオシステムを提供することだった。

現在、世界中のカーメーカーはこぞって自社以外のオーディオブランドのシステムを搭載(一部はオプション設定)しプレミアム性を高めている。例えばブガッティやメルセデスはドイツの著名ブランド「ブルメスター(Burmester)」、レクサスはアメリカの名門「(Mark Levinson)マークレビンソン」、アウディは「Bang&Olufsen(バングアンドオルフセン)」、BMWは「Bowers & Wilkins」といった具合だ。

そのような中、ロータスがグローバルパートナーシップとして協業したのが、同じイギリスで1961年に創業された名門スピーカーメーカーだったことは興味深い。実はロータスとKEFのコラボレーションの第一弾は、ロータス最後のガソリンエンジン車として2022年に発売されたミドシップスポーツ EMIRA(エミーラ)に、KEFプレミアムオーディオシステムが採用されたことから始まる。

コラボレーションの第二弾となる今回は、第一弾のEmira同様に「Uni-Q」ドライバーを車両に搭載。Uni-Qは高音域担当するトゥイーターと中音域を担当するミッドレンジユニットを同軸上に1つにまとめた“同軸型ユニット”で、部屋全体に音を均等に届けることが可能だ。つまりスイートスポットが広く、ディテールに優れた音像表現を実現する。さらにその美しい振動板の形状はKEFスピーカーの象徴ともなっており、すでに12世代もの進化を遂げている。

KEFは人気メーカーとしてホームオーディオ用のラインナップが豊富だ。英国ウェールズの芸術家兼工業デザイナーのロス・ラブグローブがデザインした2000万円ものスピーカー「MUON」から、近年同社が得意とするアンプ内蔵ワイヤレススピーカーの「LSX II」まで、主要なモデルには全てUni-Qドライバーが搭載されている。 

話をELETRE に戻すが、車載用のKEFオーディオシステムのバージョンは2つある。特に上位バージョンは天井も含め全部で23基のスピーカーを備え、センターコンソール下部にはサブウーファーを搭載し、水平方向360度プラス天井方向から音に包まれるDolby Atmosにも対応。一方のスタンダードバージョンでも、合計15基ものスピーカーを搭載する。

筆者は2023年に国内で開催された数々のカーオーディオコンテストで審査員を務めたこともあり、カーオーディオの音への感度が高い方だと自認している。今回は、上位シリーズシステムが投入された「ELETRE S」に乗り込み、音質をチェックした。
 


ロータスらしく空力に配慮しつつ、トレンドであるパネルのエッジを効かせたエクステリアの車体、そのドアを開けて車内に乗り込むと、洗練されたブラック基調のインテリアに目を奪われる。ダッシュボード上部中央には、5.1インチの大型OLEDタッチディスプレイが搭載され、左側のパッセンジャーシートにも各種の情報を表示するディスプレイと、リアにも大型のディスプレイが搭載されている。この仕様から、ELETRE は音声および映像のエンターテイメント性を高めてきたということが読み取れる。そして、その根幹を担うのがKEFのサウンドシステムなのだ。それを最も感じる理由は、左右のドアおよびダッシュボード上に搭載されたUni-Qドライバーの存在。特にドアはユニット保護用のサランネット越しに一眼でUni-Qとわかる同軸形状が見てとれ、音質に気を遣っていることを視覚的に訴えかけてくる。

それでは実際の音質はどうだろうか?本オーディオシステムは、現在スタンダードな再生方法であるスマホとのBluetooth接続に対応しているが、今回は音質最優先でUSBメモリを利用した再生を行った。楽曲ファイルを保存したUSBメモリを、センターコンソール内部にあるUSB端子へ接続し、ディスプレイに表示される楽曲をタップして再生指示を出したのだが…。ひとことで言うならこのオーディオシステム、かなり音が良いのだ。まずアメリカの洋楽ヒットチャート「ビルボードHot100」から、チャーリー・プースの『There's A First Time For Everything』を聴いたのだが、イントロのシンセサイザーが色彩感豊かでサウンドステージが広い。楽器1つ1つの分解能が高くリアルで、かつ中~高音域のディテールがシャープで音がしっかりと前へ飛び出してくる。これこそUni-Qドライバーのアドバンテージ。低域は力がありつつディテールも保持しているので迫力もあるし、音楽的なグルーブもしっかりと表現してくれるノリの良い音。次に聴いたのは女性ボーカル、アデルのアルバム「30」より『To Be Loved』だが、透明感抜群のバックミュージックに、血の通った彼女のボーカルが眼前に現れた。ナチュラルながら音楽的に没頭でき、何より音のディテールがしっかりしている。僕がKEFのホームスピーカーに感じている強力なアドバンテージ がまさにある。
 

今回はドライバーに最も良い音を届けるモード「DRIVER」で試聴を行なったが、 本システムはその他に、パッセンジャーやリアシートに乗車する人達を優先にする「ALL」や「REAR」といったモードも実装している。「REAR」モードにしたのち、リアシートに座って確認したのだが、フロントシートで聞くような分解能の高い音で、聞き応えが良く感心した。この音であれば、家族やVIPなどを載せた場合に喜ばれるであろう。また、音の広がりや包み込まれ感を可変するモードも備えている。標準となる「SOURCE」モードでは、高品位な家庭用ステレオオーディオシステムで聴くように前方からしっかりと音が出てくるし、「STAGE」「SPAILAL」 にすると運転席を取り囲むように設置された24基ものスピーカーを利用して乗車した皆を音が包み込んでくれる。今回のローンチイベントでは、急遽来場者に本オーディオシステムのデモを行っていたが、「STAGE」「SPAILAL」モードでの音の包まれ感は大変好評だったようだ。

まとめとなるが、カーメーカーとオーディオメーカーのコラボレーションによる優れた音質を備えたオーディオシステムの実装は、車内エンターテイメントの満足度を大きく高めてくれる。僕が最も嬉しかったのは、ELETRE のカーオーディオシステムからは高品位なKEFのホーム用スピーカーで聴き取れる音が伝わってきたことだ。

ロータスとKEFのコラボレーションは、ただのダブルネームに収まらない。基本的な室内形状や前後左右のウインドーからの反射、さらにシート素材による音の響き方まで計算した統合的な音質対策を行なっている。先述したとおり、現在世界中の自動車メーカーは積極的にオーディオメーカーとコラボしているが、老舗のイギリスメーカー同士が組んだ意味は大きい。KEFからは本コラボレーションを記念した「LS60 Wireless Lotus Edition」が限定発売されているが、両者の関係性の深さを物語っているエピソードだろう。一台の車としての美しいボディラインと圧倒的なパワーを持つことに加え、KEFのオーディオシステムによる良質な車内エンターテイメントの実現が、ELETRE の価値を一気に高めている。
 

KEF x LOTUS パートナーシップ
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